ようこそ 名古屋工業大学 大原研へ
ようこそ 名古屋工業大学 大原研へ
私たちは新しい希土類金属間化合物の探査とその電子物性測定を行っています。
合成を目標とする物質は、
1)重い電子系における超伝導体(ある温度以下で電気抵抗が全く無くなってしまう物質)
2)キラル物質における磁性体、あるいは、超伝導体
3)フラストレーションをもつような磁性体
です。
「重い電子系超伝導体」においては、超伝導状態への変化はとても低い温度でおこります。この宇宙には一番低い温度(絶対零度)があります。摂氏温度で表現するとおよそ−273℃です。私たちが探している超伝導体はその絶対零度から1℃くらいのところでやっと超伝導になります。
「そんな低い温度で超伝導になったって役に立たない」と思うのは当然ですね。
しかし、超伝導を研究する上ではなかなか面白い存在です。実は、重い電子系超伝導体は、これまで発見された物質の中でもっとも高い温度で超伝導になる銅酸化物系の超伝導体とどうやら同じしくみで超伝導になるようなのです。非常に低い温度で超伝導になる物質とかなり高い温度(といっても−130℃くらいですが)で超伝導になる物質が同じしくみで超伝導を示すと言うこと自体、興味あることと言えます。
また、とても低い温度で超伝導になると言うことは、「いじくりやすい」ということでもあります。磁場、圧力などの外場や元素置換などでその性質を変化させることが容易です。超伝導を研究する上で便利なのです。一方で、試料が「いじくられやすい」ために、その性質は試料の質にとても敏感です。たいへんにきれいな結晶(宝石のようなきれいさではなく、原子の配列の乱れや不純物の少ない結晶)を作ることが大事です。
「キラル物質」は、反転中心と鏡映面をもっていません。そのために、右手結晶と左手結晶が存在し、磁気秩序した場合に反対称スピン軌道相互作用により、キラル螺旋磁性が生じる場合があります。キラル螺旋磁性においては、スキルミオンやキラルソリトンなど新しいスピン構造が見つかっており、スピントロニクスへの応用でも注目されています。しかし、その基礎的な理解が十分進んでいるわけではありません。私たちは良質な単結晶を用いてキラル磁性を理解しようとしています。
その他にも、ハニカム構造、カゴメ構造など、磁気秩序を示す際に不安定になりやすい構造をもつ磁性体の研究を行っています。特にハニカム構造については、電流誘起の磁気現象の探査など、新しい分野の研究にも取り組んでいます。
私たちは、まだ誰も知らない物質を見つけ出したり、良質な単結晶を合成することをめざして、希土類金属間化合物の探査を進めています。物質合成に成功すると、絶対零度まであと1〜2℃くらいの−272度くらい(絶対温度でいうと1〜2Kくらい)の極低温まで、電気抵抗率や比熱、磁化率などを測定して、その物質の「基底状態」(絶対零度での状態)を調べていきます。
さらに極低温、高圧力、強磁場下での電子物性の研究を東大物性研究所やSPring-8などとの共同研究で進めています。
ものづくりに興味がある人、未来材料の一つである超伝導に興味のある人、工学部ではあるけれども、ちょっと理学に興味のある人は、大原研究室で学ぶのに向いているかもしれません。
新物質探査と電子物性測定
けんきゅうしたらば
わかるかな
わからんことが
わかるかな サッチモ博士
ほんとは なにが
わかるのか
けんきゅうしなけりゃ
わからない ニッチモ博士
佐々木マキ著
「ムッシュ・ムニエルとお月さま」より
名古屋工業大学大学院 工学研究科 物理工学専攻 材料機能分野
名古屋工業大学 工学部 物理工学科 材料機能分野
写真:研究室近くのメタセコイア
Door meten tot weten.
Copyright © ohara-lab.web.nitech.ac.jp All Rights Reserved.